[東京 25日 ロイター] 東京株式市場で日経平均は小幅続伸。円安基調を背景に朝方にハイテク株や自動車など輸出関連株などを中心に買われたものの、上値は限定的となった。
テクニカル面からの高値警戒感が継続する一方、25日、26日のEU首脳会議を前に、ギリシャを始めとする一部加盟国の財政問題への不透明感が重しとなった。
東証1部騰落数は値上がり643銘柄に対して値下がり896銘柄、変わらずが140銘柄で、値下がり銘柄の方が多かった。東証1部の売買代金は1兆3183億円。
株式市場筋によると、寄り付き前の外資系証券10社経由の注文状況が15営業日連続の買い越しとなるなど、海外投資家の買いは継続しているようだ。加えて、3月期決算企業の権利付最終売買日をあすに控えて売り急ぐ投資家が少なかった。それにもかかわらず、きょうの東京市場は午後にマイナスとなる場面があるなど、上値の重い状況が続いた。
騰落レシオの上昇などテクニカル面での過熱感への警戒感があるほか、25日、26日の欧州連合(EU)首脳会議におけるギリシャ問題支援の行方に不透明感が強いことが懸念材料となっているという。市場では「短期的な過熱感やユーロ圏の問題などから上値追いには慎重になっている。第一生命株を取得するための換金売りも上値を重くしている要因のようだ」(準大手証券情報担当者)との声があがった。
ギリシャ問題については、支援策での合意を目指したユーロ圏諸国間の調整がこう着状態となっている。24日、ポルトガルの格付けが引き下げられたことも重なり、EU首脳会合でギリシャ向けのセーフティネットについて合意が得られなければ、市場に影響が波及する恐れを浮き彫りにした。
複数の外交筋によると、ドイツとフランスはギリシャ向けの予備的な支援に国際通貨基金(IMF)が関与すべきかどうかや、ユーロ圏各国による寄与の可能性をめぐり、依然協議を続けている。立花証券?執行役員の平野憲一氏は「市場関係者のなかにはIMF介入を嫌気する向きが少なくないようだが、混乱が収まるという観点から悪材料ではない」とみている。
不透明感の強い海外要因とは対照的に、国内のファンダメンタルズは良好との声が相次いでいる。みずほ証券投資情報部?マーケットアナリストの高橋幸男氏は「経済指標からみた景気や、企業業績に加えて円安基調などの国内要因は悪くなく、海外投資家による輸出株買いにつながっているようだ」と指摘。立花証券の平野憲一氏も「5月にかけての企業の本決算発表シーズンでは、極端に円高に振れなければ、総じて業績の大幅な回復を確認することになるとみられている。期末を通過すれば、市場が好決算を織り込む場面が出てくるのではないか」と述べた。
きょうの東京市場では業種別で、繊維や機械、不動産の上昇が目立った。空運、鉱業、小売はさえない。
個別銘柄ではトヨタ自動車<7203.T>が4日ぶりに反落。円安傾向に加え、ダイハツ工業<7262.T>や日野自動車<7205.T>を含めたグループ全体の国内生産体制を再編する方針が明
らかになったことも収益改善期待が高まるポジティブ材料となった半面、リコール問題を嫌気した下落の半値戻しを達成しているため、軟化したという。
東レ<3402.T>が続伸。25日付の日本経済新聞朝刊は、同社が航空機部品などに使う炭素繊維を4月出荷分から10―15%値上げする方針を決めたと報じ、収益拡大を期待した買いが先行した。
大手銀行株は三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>、みずほフィナンシャルグループ<8411.T>が反発した。三菱UFJフィナンシャル?グループ<8306.T>は前営業日終値比で変わらず。
(ロイター日本語ニュース 石渡 亜紀子記者)
日経平均 日経平均先物6月限
終値 10828.85 (+13.82) 終値 10770 (+30)
寄り付き 10857.81 寄り付き 10790
安値/高値 10808.71─10872.45 安値/高値 10740─10810
出来高(万株) 190259 出来高(単位) 43997
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